大体こういう流れですったもんだでくっついた後の話をコピ本で出せれたらなぁと。
大雑把な世界観
オメガバース基準で、ただしアルファ以外はケモミミ尻尾がある世界。

基本的に、子供のアルファは寂しがり屋らしい。
ベータとオメガは動物の尻尾と耳が生えていて、アルファにはそれが無い。だから幼少期はその違いで泣いたり寂しがったりするそうだ。けどあたしにはそういうものが全然無く、ひたすらにマイペースでポイントカードが好きな変わった子だったと今でもママ達に言われる。
じゃあ何時ぐらいから寂しいと、そういう事を思うようになったのかと言うと中学に入ってから。だって耳と尻尾がなければアルファってすぐに分かってしまって、そして女子というものは恋話に目が無いいきものなのです。しかも女子高というのも悪かった。あたしの第一性別は女子で、第二性別はアルファ。
アルファはどちらかと言えば男性よりだ。つまり付き合う対象としてロックオン。流石にトモちんよりも少ないけど、バレンタインになればまぁまぁチョコを貰ったりとかもしている。
そこはまだ良いとして、問題はそれまでずっと一緒だった子が、恥ずかしがるようにあたしから離れていってしまった事。そりゃあ「青葉さんって美竹さんと付き合ってるの？」とかわくわく顔で聞いてくる人もいたけど、いくら何でも恥ずかしがって逃げることは無いと思う。おかげで暫くハンバーガーも5個で限界になったりした。バンドが出来てからは、同じギター担当という交わし先が出来たからか、また一緒になれたけど、それが、あたしが生まれて始めて、他のアルファみたいに寂しいと思った時なのでした。

「――――で、今その話する理由って何？」
「え、最近昔みたいに蘭が一緒で嬉しいなぁっていう気持ちを分かりやすーく説明してるだけだけど？」
ふぅん、と隣で言う蘭は、耳を一瞬ぴくりと動かしながら「あっそ」と興味なさげに相槌を打ってきた。黒い猫の耳は、蘭の髪と一緒で綺麗な濡羽色。だけど蘭より素直なので見てて楽しい。
屋上は今日も絶好の昼寝ポイント。日差しも程よく風もわずかで心地いい。
本当、バンドが出来てからはまた一緒になれる時間は増えた。だけど最近はよく遊びに誘ってきたり、今も尻尾が腰のあたりにすり寄ってきたりして、どうしようかなぁとあくびする。あくびして、そのまま体育座り。膝の上に両腕を重ね枕にする。
「寝るの？」
「ん、おやすみー。お昼には起こしてー」
あたしの自意識過剰とか、そういうので済めばいいんだけど。寝たふりをしながら考える。
どうだろう。
たまに向けられる視線とか、いきなりこうしてまた近づいてきたりとか。何となく、そういう種類のものだったりするのかなぁ。
あたしは隣に居れたら、それでいいのに。どっちつかずになりそうな気持をぐるぐる友情とか親愛とかに巻き付けて、固定出来たら楽なのに。
「……モカ？」
ぎゅ、と目を強く閉じた。聞こえないふり、知らないふり、気づいてないふり。
息遣いが聞こえる――気のせいだ。
どんな顔をしてるのか、すぐ想像できる――見ていないからただの妄想だ。
「……すき」
とても小さな声。きっと蘭の声じゃなかったら聞こえないそれ。何やってるんだろう、と呟かれる独り言にあたしも頷いた。
答え方の分からない言葉は、どうしたら良いんだろう。