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ㅇㅇ(211.54) 2022.01.08 05:47:13
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子フェンリルの日常2

 休憩時間となった執務の間で、子フェンリルはあっちにこっちに飛び回る。

 目当てはもちろん、甘そうなケーキである。


 だが。


 筆頭宰相ココリスは、いたいけな子フェンリルが近づくとケーキの皿を頭上までかかげ、

「こら乳児がケーキを食べるんじゃ無い、しっしっ!」


 世間の風は冷たい。あとさすがにその高さまでジャンプ出来ないって。

 なら久しぶりにコーヒーも飲みたい! え? そっちもダメ? ケチ‼

 いいよ、執務の間には他にもたくさん人がいるし!

 子フェンリルはプイッとココリスに背を向け走り出したのだが……。


「すみません。バージェス医師に固く止められておりまして……」

「甘い物を食べすぎるのは健康にもよろしくないかと」

「申し訳ありません、姫君の健全な成長のためです」


 皆さん、ケーキやコーヒーを手で隠しながら詫びてくる。

 冷たい冷たい冷たい‼

 子フェンリル、甘ったれ声で皆さんに訴えかけるが、バージェス先生が日々忠告しているせいか、皆さん目をそらす。

 ならば仕方ない。最後の手段だ。


 フェンリルさーん!


 婚約者に向き直った子フェンリル、最大の甘え声で保護者に訴えた。

「姫……!」

 いつもは素っ気ない子フェンリルに甘えられ、目を輝かせる公爵閣下。

 彼はすぐさま、手つかずのケーキの皿に手を伸ばす。よっし!

 だが。


「ダメだロキ、分かってんだろうな。子フェンリルちゃんは要経過観察なんだぞ?

 病弱な子供にそんな脂肪たっぷりのもん食わせて、腹を壊したらどう責任を取るんだ?」

 ケーキにフォークを突き刺しながら、静かに釘を刺す魔王。

 私の健康状態が関わると、魔王陛下も冷徹になるようだ。

「…………」

 閣下はたっぷり三分は沈黙し――ついに差し出しかけたケーキを渋々下げた。

 そして『姫、すまない……』と沈痛な声を出して皿を見つめ、次の瞬間、皿をあおぎケーキを丸呑みにした。


 …………。


 丸呑みしたよ。喉につまらないのか、すごいな高位魔族。


 見なかったことにしよう……。


 ともかく傷心の子フェンリルはすみっこでいじけ、きゅんきゅん鳴く。そこに、

「姫君」

 振り向くと、宮廷メイドさんたちが並んで立っている、皆さん目をキラキラさせ、

「ご安心下さいませ姫君。姫君にもちゃんとミルクを用意してございますよ!」


 子フェンリル、毛を逆立てる。

 ひいいいい‼ 人前で哺乳瓶とか恥ずかしい‼ 嫌‼

 子フェンリル、羞恥の感情に囚われ逃走しようとする。

 だがむんずと首根っこつかまれ、宙に浮き上がる。

 あんよが虚しく虚空をかいた。

 さすが魔王陛下に仕えるメイドさんだ。レベル高ぇ。

「さあどうぞ、姫君」

 だが感嘆している間にも哺乳瓶の口が迫る。

 休憩している面々はケーキを食いながら、何となく暴れる子フェンリルを観察している。


 子フェンリルは羞恥でもだえた。


 いーやー!


 …………


 …………


 満腹になった子フェンリルは、日なたでゴロゴロと転がり回る。


 休憩時間も終わり、執務の間には再び怨嗟の声があふれた。

 それを心地良いBGMに午後のお昼寝――と思ったところで執務の間をノックする音が聞こえた。


 コンコン。


 そして大扉が厳おごそかに開かれた。そこにいたのは、


「失礼致します、陛下、公爵閣下、並びに皆様方。家庭教師ガヴァネスのイナリアにございます」


 優雅な礼をしたのは下半身が蛇――ラミア族のイナリア先生である。

 イナリア先生は、名乗った通りに私の家庭教師。平民育ちの私に、貴族としての礼儀作法や魔族世界の知識を教えてくれているのだ。

 だが来てくれたのは先生だけではなかった。


「エルニエッタにございます。お嬢様、お久しぶりです」

 イナリア先生の後ろから現れたのは、同じくラミアの美女。イナリア先生の妹、エルニエッタさんだ。

 彼女は、王都唯一のお医者様バージェス先生の看護助手をやっている、とても優しい人だ――普段は。


 ともあれ子フェンリルがくーんと鳴いてしとやかに礼をすると、イナリア先生はニッコリ笑った。


「さあさお嬢様、バージェス様の楽しい楽しい診察のお時間ですよ」


 うおおお‼ 入院は嫌! 注射も勘弁‼


 しとやかさをぶん投げ、七転八倒して逃げようとしたが、蛇の動きはそれ以上に速かった。

「まだまだ甘いですね、お嬢様」

 ムチのようにしなる尻尾が行く手を阻む‼ 

 子フェンリル、たちまち巻き付かれ、尻尾にとらわれてしまった。しおしお。


 フェンリルさー……。


 一瞬、公爵閣下に助けを求めようとしたが、わたくしの知性がそれを阻む。


 今の公爵閣下は多忙に多忙を重ね、理性が崩壊寸前だ。

 理性が吹っ飛んだフェンリルさんは恐ろしい。上司、他領土の魔王の子息、果ては幼い婚約者にまでためらいなく攻撃を食らわせてしまう。

 イナリア先生たちを守らねば。大人になるのだ!


 子フェンリル、敬愛するイナリア先生やエルニエッタさんのため、大人しくなる。

 イナリア先生は生徒の葛藤を知ってか知らずか、私を尻尾から解放し優しく抱っこした。

 私は豊かな胸の谷間に抱き寄せられる。むぎゅう。

「良いお心がけです。それこそ猛きフェンリル族の姫君。

 大切なお嬢様に公爵令嬢のご自覚が芽生えましたこと、このイナリア、お仕えする身としてこの上なく誇りに存じます」

 いや、子供が医者を嫌がるのを止めたってだけでさあ。

 そして私を無事確保し、イナリア先生たちはとっとと出発するようだ。


「それではお騒がせいたしました、皆様方。私どもはこれにて失礼いたします」


 イナリア先生が、文句のつけ用のない優雅な礼をし、文官連中はポーッとそれに見とれる。

 サッちゃんさんや神父さんは手を振って、ココリスたち文官も軽く礼をしてくる。

 公爵閣下はというと、今生の別れかという悲痛な面持ちであった。


「姫……我が……ええと……姫……」


 哀れな。語彙ごいが絶滅した。頭脳労働でよっぽど疲れてるんだなあ。今度一緒に遊んでやるか。いつになるか分からないけど。


「子フェンリルちゃん、また来てくれよー」「じゃあな、白毛玉ちゃん」「姫……ええと、姫……」


 そして魔王さんたちに手を振ってもらって執務の間を後にする。

 背後で執務の間の扉が閉まった。

 先生達は第五魔王城の長い廊下を、優雅に歩き――這い出す。

 しかし白毛玉って何だよ、クソ神父。確かに白いけどもさ。もふっ!

 子フェンリル、だんだんと憂うつになって、腕の中で哀れっぽく鳴いた。


 診察なんて嫌ー。フェンリルさんと遊びたいー。公爵令嬢邸に帰って昼寝したーい。

 先生の胸の中に顔をうずめきゅんきゅん鳴いていると、イナリア先生がいたわるように背中を撫でてくれた。

「ご辛抱下さいませ、お嬢様。外には騎竜を止めてございます。公爵令嬢邸まであっという間ですよ」

 騎竜で喜ぶとか無いから! 子供じゃないから!

 子フェンリル、ますますうなって不機嫌モードだ。すると横を歩いて……這っていたエルさんは困ったように笑う。


「お嬢様。そうグズるものではありませんよ。ではこうしましょう。私がお話をお聞かせいたしますね」

 え、何々? 楽しいお話?

 子フェンリルが目を輝かせると、エルさんはコホンと咳払いし、


「昔々、湖のほとりの美しい国に、それはかわいらしいお姫さまがいました……」


 あーはいはいはいはいはい。把握しました。

 子フェンリルの目から光が消える。

 デアリーテたちが大好きな家庭内不和話よりマシだが、こんなおとぎ話を喜ぶ子供じゃないしー。


「あるとき、お姫さまは王さまとお妃さまに呼ばれました。するとそこに、おとなりの国の王子さまがいて――」

 はいはいはい。子フェンリル、あくびをして聞き流しながら考える。


 それにしても不安だ。最近は良くなったり悪くなったり。いつまでも元気にならない。

 お友達の令嬢ちゃんたちと約束したお泊まりだって、まだ実現出来てないのだ。


 ここに来たばかりの頃の方がまだ元気だった。

 お作法の授業が地獄だったけど、貴族の令嬢ちゃんたちと仲良くなったり、サッちゃんさんに魔王城を案内してもらったり、ルアレイティアさんとお友達になったり楽しかった。

 でも第二魔王領から戻ってきて、四ヶ月も寝てたり、その後も何度か入退院を繰り返してる。


 いつ治るんだろう。ずっとこのままなのかな。薄幸の子フェンリル、病弱設定まではいらん。

 原因と言えば、長期に渡る無理な雌フェンリルさん化――成体化らしい。

 ほら、私は第二魔王領を出た後、少しの間、無人島にいた。そのとき生きていくため成体化してたのだ。

 こっちに戻ってからもフェンリルさんの反応が面白くて、何度か成体化してる。

 今後自重せねば。ちゃんと大人になるまで、絶対にやらない! 決めたぞ!


 あくびをかみ殺しながら決意してると、魔王城の正門扉が近づいてくる。

 黒狼騎士団が公爵令嬢たる私に、うやうやしく礼をして扉を開ける。

 そのあたりでちょうど、エルさんのおとぎ話も終わ――。


「――そして大佐が老婆の生首を撃ち抜くと、生首は凄まじい断末魔を上げて消えてしまいました。

 こうして甚大な犠牲の果てに第五中隊は勝利。大佐は『砂漠の虎』と讃えられ、辺境に長くその名を轟かせたのでした。めでたしめでたし」


 …………いや待てやエルさんっ‼


 お姫さまどこ行った‼ 大佐どっから出てきた‼

 主役から舞台から作風まで一新されてるとか、たった数分の間にどんな超展開があったの‼

 でもイナリア先生は涼しい顔してるし、実はストーリーに整合性があったのか⁉

 くそ、話を聞き直したいけど、そしたら私が話を聞いてなかったってバレる‼

 子フェンリルが悶えている間に、イナリア先生は用意されていた騎竜に、私を抱っこしたまま乗る。


「さあさあ姫君、しっかりつかまっていて下さいませ。では参りますよ、はっ!」


 子フェンリル、人生最大の後悔に見舞われながら、魔王城から出発したのであった……。


 ――続く。

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